東証1部の売買代金が活況の目安とされる3兆円に迫り、新興市場ではヘラクレス指数が1000台を回復するなど、相場に活気が出てきている。とはいえ、日経平均が14000円を目前にして失速するところを見ると、短期的な過熱感や戻り待ち売り圧力の強さは否めない。また、寄り付き前に発表された3月鉱工業生産は前月比3.1%減と、市場予想(0.7%減)を大幅に下回ったほか、引け後発表の日銀展望リポートでは、2008年度のGDP成長率が昨年10月の2.1%→1.5%に下方修正、金融政策のスタンスも従来の「利上げ」→「中立」への変更を余儀なくされるなど、マクロ環境は厳しさを増しているようだ。

 主力企業の決算発表が先週末から本格化したが、きょうで第1次ピークが終了。今週末は、ゴールデンウィーク前ということもあり、決算発表を控える銘柄が多い。それだけに、今後は外部環境に左右される展開となりそうだ。今週の米国市場が方向感に乏しい展開となっているのは、主要イベントを控えた「嵐の前の静けさ」だと思われる。今夜は特に注目度の高いFOMCで利下げの是非が問われる。金融不安の後退を受けて、利下げ幅は0.25%に留まり、今回で利下げ打ち止めというのがコンセンサスのようだが、バーナンキ議長が今後の金融政策をどのように舵をきるのか要注目。発言内容次第では為替、株式相場とも大きく振れる可能性もありそう。また、FOMC前に発表される1-3月GDPも市場予想(+0.5%程度)に対してどのような着地となるか注目したい。

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年4月30日の東京株式市場は日経平均株価が反落いたしました。
昨晩の米NY株式市場は高安マチマチ。DOWは−39ドルの12,831ドル、NASDAQ総合指数は+1.70ポイントの2,426.10ポイントとなりました。
 シカゴ平均株価先物大証終値+20円の13,910円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り3890万株、買い4560万株で、差し引き670万株の買い越し(金額ベースは売り越し)観測でした。

 東京株式市場は様子見ムードが広がり軟調展開。日経平均株価始値13,802円と前日終値13,894円から92円安くスタート。利益確定売りが先行して始まりましたが、途中プラスに転じる場面も見られました。終盤はもみ合いが続き、結局−44円の13,849円で本日の取引を終了しております。
 東証1部の騰落数は、値上がり784銘柄、値下がり828銘柄、変わらずは108銘柄。東証1部の売買代金は2兆9,070億円、売買高は21億5,434万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は日経平均株価が一服。売り買い交差となっております。
 個別では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)など大手銀行株はもみ合う動きとなっております。

 三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、住友不動産(8830)など大手不動産株や、新日本製鐵(5401)、住友金属工業(5405)、ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)など鉄鋼株、アコム(8572)、プロミス(8574)、アイフル(8515)など消費者金融株、損保ジャパン(8755)、ニッセイ同和損害保険(8759)など損保株の一角は売り物に押され下落いたしました。
 一方、大和証券グループ本社(8601)、野村ホールディングス(8604)、新光証券(8606)など証券株は買われ続伸いたしました。

 その中目立った銘柄では、短期資金流入から佐田建設(1826)が大幅上昇を演じ東証1部上昇率ランキングトップに君臨。また、決算発表から新明和工業(7224)、積水化成品工業(4228)、松下電器産業(6752)、三菱製鋼(5632)などが買われ上昇率ランキング上位にランクインしております。
 その他、『ザラ場の銘柄情報』でピックアップした銘柄から、ドリームインキュベータ(4310)、サンフロンティア不動産(8934)、フィデック(8423)が揃ってストップ高まで買われております!

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場はしっかりです。主力株は、楽天(4755)を始め、ミクシィ(2121)、アルゼ(6425)、スパークス・グループ(8739)、サイバーエージェント(4751)、フィールズ(2767)、オプト(2389)などが上昇いたしましたが、ワークスアプリケーションズ(4329)、GCAサヴィアングループ(2174)、ダヴィンチ・アドバイザーズ(4314)などは売られております。
 新興3市場は、JASDAQ平均、ヘラクレス指数は続伸、マザーズ指数も反発上昇となりました。

 個別では、『ザラ場の銘柄情報』でピックアップした銘柄からガンホーオンライン(3765)、アイディーユー(8922)、日本通信(9424)、がストップ高となった他、オールアバウト(2454)、エー・ディー・ワークス(3250)、サミーネットワークス(3745)、アールテック・ウエノ(4573)、インテリジェンス(4757)、WOWOW(4839)、アイ・オー・データ機器(6916)、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(8458)、マネースクウェア・ジャパン(8728)、エリアリンク(8914)、リプラス(8936)、日本レップ(8992)、ビーアイジーグループ(9439)など多くの銘柄がストップ高まで買われました。

 さて、本日主力株は売り物に押され下げる銘柄が散見されましたが、下げ幅は少なく「下落」というよりは「一服」と取れる動きとなっております。以前に比べ買い気も高まっておりますので、主力株が一服する中でも好業績銘柄や小型不動産銘柄などへの買いは継続いたしました。
 また本日は新興市場銘柄も買われるなど『循環底上げ物色』の色彩が強まっており良い動きと言えます。これまで長期にわたり下落トレンドに慣れ親しんだことからも「買いも大きく下げるのを待ってから」と見てしまいますが、「需給を逆転させるような大きな悪材料などが出現しない限り上昇が続く」との見方が優勢です。

 直近高値を更新した銘柄や、底値もみ合いから抜け出した銘柄などを狙いサクサクとトレードしていきます。個別では、小型不動産株の出遅れからゼファー(8882)。大幅下落銘柄の反発期待で、巴コーポレーション(1921)、アドヴァン(7463)、さくらインターネット(3778)、アウンコンサルティング(2459)などをマークしていきます。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は−44円の13,849円と小幅反落。昨晩の米NY株式市場は高安マチマチ。明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたいと様子見ムードが高まっております。
 東京株式市場は、米金融大手シティグループが資本増強発表から時間外取引で売られたことや、寄り付き前に発表された3月鉱工業生産が前月比3.1%減と市場予想を下回ったことなどから売り優勢で取引を開始いたしました。

 日経平均株価は−92円の13,802円でスタート。寄り付き後に−128円の13,766円まで売られましたが、その後は押し目買いが入り反発。後場に入り+80円の13,976円まで上昇した場面もありましたが、引けは−44円の13,849円となっております。
 中期基調は上向き継続。短期基調も上向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは●○○○○○●○●○○●と「8勝4敗」。25日移動平均線は13,246円と上向き。日足は上ヒゲを持つ短小陽線を形成しております。

 先週末に「本日高値を明確に抜けてきたことから、このまま来週も強い動きが予想されます」と書かせて頂きました。本日は下落しておりますが下げ渋り日足は陽線。上昇基調は継続しており、『上有利』となっております。
 引き続き、上昇継続と見ておりますが、日経平均株価の安値からの上げ幅は3月17日安値の11,691円から28日の14,003円まで2,312円に達しておりますので、いつ何時調整入りとなっても可笑しくはありません。コツコツと利益を確定しながら徐々に慎重姿勢で取り組んでいきます。