東京市場は下値を見極める展開か。シカゴ日経先物は13635円と先週末の大証日中終値比で小幅安にとどまっているものの、利益確定売り優勢の動きが続くことが想定される。商品市況の上昇などからスタグフレーションへの懸念が強まってきており、当面は外部環境を睨みながら上下に神経質な展開が続こう。

 9日のNYダウは大幅反落。ナスダックも反落した。前日発表されたAIGの決算内容やシティーグループによる4000億ドル相当の非中核事業売却の発表が嫌気された。また、原油価格が5日連続の史上最高値更新となったものの、エネルギーセクターへの買い意欲にはつながらなかったことや、ムーディーズAIGの格下げの可能性を示唆したことなどからNYダウは一時150ドル超の下落。終日、金融株が相場の足を引っ張った。 もっとも、1950年以来のNYダウの月間騰落率を単純平均でみた場合、12ヵ月のうちで最もパフォーマンスが高い4月の1.8%の上昇に対して、続く5月はマイナス0.03%と株価のモメンタムは一気に低下する。米国企業の第1四半期決算やその期の見通しを4月で織り込む傾向があるため、その反動が5月にでるからであろう。今年に関しても、足元では戻り売りが強く意識される水準に差し掛かっている。

 今週は国内では3月期決算企業の本決算発表がピークを迎え、15日は社数ベースで最多となる。主力銘柄ではソニーや日立、ヤマダ電機メガバンクなど有力企業が決算発表を予定。先週のトヨタに続き決算内容に一喜一憂する状況が続きそうだ。また、経済指標では機械受注やGDPなどが控えていることや、海外ではFRBバーナンキ議長講演や小売売上高、住宅着工件数など景気動向を確認する上で重要な経済指標の発表が予定されている。市場予想を下回るような内容となれば、下に大きく突っ込む場面も想定されよう。

 テクニカル面では下値模索の展開が続き、今月の安値を更新してきた。そのため、5月7日の高値14208円を天井とした下降トレンドが確認され、今週は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。ただ、13500円水準では4月23日安値(13449円)、4月7日高値(13485円)などテクニカルポイントが集中していることや、上昇基調の25日移動平均線も同水準に位置している。よって、13500円水準で値固めの動きとなれば、再び上値を試す展開も期待される。
 その際には、5日移動平均線の13903円や5月7日高値の14208円が目先の上値メドとなる。一方、下値を切り下げる動きが続くとすれば、4月17日安値の13313円や75日移動平均線が位置している13226円前後などが下値メドとして考えられる。