預金準備率を引き上げたうえ、四川省で大地震が発生した中国市場の動向が懸念されたが、影響は限定的との見方が優勢となった。現地に拠点を持つトヨタセブン&アイなどが朝方から堅調に推移したほか、コマツ日立建機などが復興需要期待で大幅高。10時半スタートの中国株式市場も比較的落ち着いた値動きを見せたことで、相場全体に安心感を与えた。とはいえ、被害状況の全貌は未だ把握できていない状況だけに、楽観視するのも禁物だろう。

 日経平均は中国市場の落ち着きを背景に、後場先物主導で上げ幅を拡大したが、14000円を目前に失速した。5月限SQ値が13,974円であるだけに、心理的な節目である14000円手前は戻り待ち売り圧力が強いと思われる。相場全体の上値が重くなる状況では、個別の銘柄選別の動きが強まりそうだ。足元では、3月期本決算発表が相次いでおり、前日に市場予想を上回る見通しを発表した富士通、SANKYOなどが商いを伴って急騰した一方、市場予想を下回る見通しを示した丸井が急落するなど明暗を分けた。決算発表のピークは15日だが、あすも240銘柄近く(ザラ場中に50銘柄近く)が予定しており、決算発表に一喜一憂する銘柄が多くなりそうだ。
 日経平均心理的な節目の14000円台を回復。終値ベースでは、5月7日につけた直近の戻り高値(14102円)を上回って取引を終えた。前場は14000円を目前に戻り待ちの売りに押されていたが、後場先物主導で上げ幅を拡大。為替相場が1ドル=105円近くまで円安方向に振れたうえ、債券相場が急落したことで「債券売り・株買い」の構図となったことも一因と思われる。債券相場が崩れた要因は、米国債が大幅続落したためなのか、CTA(商品投資顧問)による仕掛けなのか定かではないが、先月末から債券相場と株式市場の相関性が強まっているだけに、今後も債券市場の動向には注意したい。長期金利の代表的な指標である新発10年物国債利回りは昨年10月16日以来、約7カ月ぶりに1.7%台に上昇。通常、不動産株は負債が多いため金利上昇は収益圧迫に繋がるとみられるが、きょうは業種別騰落率で値上がり率トップになったところをみると、金利上昇に対する警戒感はそれほど強くないようだ。むしろ、米景気減速懸念の後退や、リスク許容度の高まりを感じさせる。

 足元で、本決算発表が相次いでいるがあすは45日ルールにより550社近くが発表するピークを迎える。きょう上昇が目立ったNTT、アステラスに共通するのは、今期減益見込みながら、前期実績が計画を上回り、増配や自社株買いなど積極的な株主還元策を示したこと。今期見通しばかりに目を奪われがちだが、前期実績(対会社計画比)や株主還元策などの有無なども吟味されたい。また、あすは寄り付き前に機械受注が発表されるが、3月実績が市場予想(-5.1%)を上回るか否か、同時に発表される4-6月期見通しにも注目したい。

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年5月13日の東京株式市場は日経平均株価が続伸いたしました。
昨晩の米NY株式市場は反発。DOWは+130ドルの12,876ドル、NASDAQ総合指数は+15.30ポイントの2,488.49ポイントとなりました。
 シカゴ平均株価先物大証終値+105円の13,865円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り1540万株、買い1750万株で、差し引き210万株の買い越し(金額ベースも買い越し)観測でした。

 東京株式市場は米株高を好感し堅調な動き。日経平均株価始値13,814円と前日終値13,743円から71円高くスタート。前場は小高い位置でもみ合いましたが、後場に入り急伸。前日比+233円の13,976円まで上げ幅を拡大いたしました。引けは+210円の13,953円で本日の取引を終了しております。
 東証1部の騰落数は、値上がり1,056銘柄、値下がり537銘柄、変わらずは123銘柄。東証1部の売買代金は2兆3364億円、売買高は19億673万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は主力株を中心に買われ、日経平均株価が続伸いたしました。
 個別では、住友金属鉱山(5713)、三菱マテリアル(5711)、東邦亜鉛(5707)など非鉄金属株や、川崎汽船(9107)、新和海運(9110)、商船三井(9104)など海運株が上昇。

 野村ホールディングス(8604)、大和証券グループ本社(8601)、新光証券(8606)など証券株や、トヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)、ホンダ(7267)など自動車株も上昇。ソニー(6758)、京セラ(6971)、TDK(6762)などハイテク株や、日立建機(6305)、不二越(6474)、コマツ(6301)など機械株も上昇いたしました。

 目立った銘柄では、自動車部品メーカーの今仙電機製作所(7266)が+200円の1,596円とストップ高まで買われたのを始め、岡三証券が強気判断のプレナス(9945)、大証のFXシステム受注が好感されたシンプレクス・テクノロジー(4340)などがストップ高まで上昇。
 決算発表から富士通(6702)、ニコン(7731)が上昇。その他、東亜道路工業(1882)、SANKYO(6417)、日本配合飼料(2056)、日本精工(6471)などが買われております。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は堅調です。主力株では、楽天(4755)を始め、スパークス・グループ(8739)、フィールズ(2767)、ワークスアプリケーションズ(4329)、オプト(2389)、GCAサヴィアングループ(2174)、ACCESS(4813)、サイバーエージェント(4751)、日本風力開発(2766)などは上昇いたしましたが、ダヴィンチ・アドバイザーズ(4314)、ぐるなび(2440)、マネーパートナーズ(8732)などが下落いたしました。
 新興3市場は、JASDAQ平均、マザーズ指数、ヘラクレス指数は上昇いたしました。

 個別では、シンワアートオークション(2437)、レデイ薬局(3027)、グローバル住販(3259)、DPGホールディングス(3781)、ディー・ディー・エス(3782)、アールテック・ウエノ(4573)、プラネックスコミュニケーションズ(6784)、ユー・エム・シー・ジャパン(6939)、エリアクエスト(8912)、日本レップ(8992)などが上昇した他、佐藤渡辺(1807)、夢の街創造委員会(2484)、フィールズ(2767)、リアルコム(3856)などが幅のある上昇を演じております。

 「また下げる」と弱気な見方が高まる中、日経平均株価は続伸し売り方を苦しめる展開となっております。ただ、東証1部騰落銘柄数を見ると値下がり銘柄は537銘柄と意外に多く、全面高とはなっておりません。
 テクニカル的に高値を抜け上昇が期待される材料株も、その後動きが止まってしまう銘柄も多く、少し取り難くなっておりますので、通常より利益確定を優先するコツコツトレードで売買していきます。

 個別では、住友石炭鉱業(1503)、三井松島産業(1518)など三角持ち合い上放れ期待銘柄や、ゼンショー(7550)、シナジーマーケティング(3859)、スター・マイカ(3230)、トレイダーズホールディングス(8704)など株価位置の低い銘柄を上昇期待で追っていきます。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は+210円の13,953円と続伸。昨晩の米NY株式市場は反発。原油価格が小幅下落となったことや、小売など消費関連株が買われております。
 東京株式市場は米NY株式市場の上昇、為替の円高一服、シカゴ平均株価先物大証終値+105円の13,865円と高く買われたことなどから買い優勢で取引をスタート。

 日経平均株価は+71円の13,814円と高く始まりました。寄り後に13,734円と前日比マイナス圏に落とす場面もありましたが、その後は引けにかけて先物主導でジリジリと買われ、引けは+210円の13,953円と大幅続伸。再度14,000円乗せを射程圏内にとらえております。。
 中期基調は下向き継続。短期基調も下向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは○●○○●●○○●●○○と「7勝5敗」。25日移動平均線は13,539円と上向き。日足は下ヒゲを持つ幅のある陽線を形成。陽線は2本連続です。

 4月7日の14,208円から昨日の13,540円まで3営業日で668円幅の下落を演じ、市場では「リバウンドは終わった。また下げる」と弱気な見方が高まる中、本日高値の13,976円まで436円の反発となりました。
 この上昇が下げ基調に転じた中での単なるリバウンドなのか?或いは下げを否定する「上昇継続」を意味する上げなのか?はっきりといたしません。
 日経平均株価は13,500円〜14,200円前後でボックスの動きとなることもありますし、腰折れとなれば13,000円付近まで下落することも考えられ、予想しにくい場面です。動向がはっきりとするまでは、個別重視で見て行きます。