27日後場の東京株式市場は、薄商いの中、平均株価が前日比203円12銭高の1万3893円31銭と急反発。前日に下回った25日移動平均線大引けで1万3887円)を回復した。売買代金は1兆7844億円と実質今年最低の1兆7815億円(3月26日)に並ぶ低水準。出来高も15億6847万株と実質今年最低の15億777万株(4月14日)に接近した。
 後場中盤から債券先物売り・株価指数先物買いの動きが強まり、一段高。為替市場でややドル高・円安に振れたことも安心感を誘い、平均株価は一時241円高まで上げ幅を拡大した。上海、香港などアジア株高や、GLOBEX(シカゴ先物取引システム)での米株価指数先物の堅調推移も市場心理の改善につながった。買い一巡後は、連休明けとなる今晩の米国株式市場や、3月米S&P・ケースシラー住宅価格指数など経済指標を見極めたいとする向きも多く、上値の重い展開。大引けに大型電機・自動車セクターへの大口成り行き売り注文観測もあり、引け際、インデックス売りにやや押された。東証業種別では全33業種が上昇し、値上がり銘柄数は全体の70%強となった。
 市場からは「インフレ懸念などを背景に債券を売り、株を買うという動きが世界的に広がっており、日本市場でも海外勢が同様の動きをしている。今期の企業収益に対しても、想定していたよりも減益幅が小さく、値上げなどを考慮すれば前期比トントンまで回復するのではないか。目先では6月上旬に出てくるアナリスト予想を見極めたい」(ちばぎんアセットマネジメント・専務取締役・安藤富士男氏)との声が聞かれた。東証1部の騰落銘柄数は値上がり1222、値下がり418。東京外国為替市場では、1ドル=103円台後半(26日終値は1ドル=103円34銭)で取引されている。
 みずほ <8411> 、三菱UFJ <8306> 、横浜銀 <8332> など銀行株が一段高となり、業種別値上がり率トップ。野村 <8604> 、岡三 <8609> 、大和証G <8601> など証券株や、日本興亜 <8754> 、損保ジャパン <8755> など保険株、センチュリー <8439> 、SFCG <8597> などノンバンク株にも買いが広がった。UBS証が目標株価880円に引き上げたレンゴー <3941> や、年初来高値を更新した三菱紙 <3864> などパルプ・紙株にも買いが継続。菱地所 <8802> 、東急不 <8815> など不動産株や、伊藤忠 <8001> 、三井物 <8031> など商社株も上げ基調となった。
 ドル高・円安傾向を背景に、ファナック <6954> 、キヤノン <7751> など値がさハイテク株や、ホンダ <7267> 、トヨタ <7203> など自動車株も堅調。武田薬 <4502> 、アステラス薬 <4503> など医薬品株も指数押し上げに寄与した。個別では、ニチユ <7105> が値上がり率トップ。電池関連として物色が向かった古河電池 <6937> は年初来高値を更新した。
 半面、個別で、配当権利落ちタクトホーム <8915> 、山下医 <3022> などが軟調。ほか、値下がり率トップのサンフロンテ <8934> や、創建 <8911> 、ランド <8918> などが急落した。

[ 株式新聞ダイジェスト ]
提供:モーニングスター