前日急騰した翌日だけに小幅安で留まったことをポジティブに評価できようが、良きにせよ悪きにせよ外部環境に依存した状況が浮き彫りになったともいえよう。日経平均の日中値幅は87.33円に留まり、今年3度目の100円割れ。4月22日(89.05円)を下回り、今年最低を記録した。日中値幅はその日の高値から安値を引いて算出するもので、値幅が小さいほど相場の方向感が乏しく、投資家の動きも鈍いことを示す。年初からの日中値幅平均が254.77円であることを勘案すると、きょうはいかに値動きが乏しかったかが窺える。また、東証1部の売買代金は2兆266億円と、辛うじて2兆円台をキープしたとはいえ4月16日(2兆109億円)以来、2ヵ月ぶりの低水準に落ち込んだ。今夜の米金融大手の決算や主要経済統計を控えて様子見ムードが強かったとはいえ、高値圏での薄商いは危険の兆候でもあり警戒したい。

 この日は物色対象に変化がみられた。規模別株価指数で大型株のみが下落し、中型・小型が上昇。新興市場では、マザーズヘラクレス指数の上昇が目立った。これまで不自然な強さをみせてきた主力大型株が利益確定売りに押された一方、直近冴えなかった海運、内需などが堅調に推移。また、マンションディベロッパーに代表される中小型株の急騰にリターン・リバーサルの一端が垣間見えた。このような、大型株から中小型株への資金シフトやリターン・リバーサルは単なる一過性のものなのか、あす以降も続くのか注目してみたい。