安倍首相が退陣を発表、前場堅調であった相場はこれを受けて一気に高値154円まで上昇した後一転して安値146円安まで下落という後場だけで300円上下した波乱の相場付きとなっている。結局大引けは多少戻して80円安の15.797円、先物出来高14万6.624枚の大商いで15.780円の終りである。
折から東京市場サブプライムローン問題と政治不安の2つの大きな悪材料を抱えて来たが、安倍氏の辞任は後者の不安を一変させる事で今後の相場に大きな好影響をもたらす事になるであろう。現時点で後任は明らかとなっていないが安倍政権より悪い事は有り得ない。また、サブプライムローン問題については来週18日からのFOMCに於ける利下げが目先の好材料として注目される事になる。今の状態からして利下げは確実であり、後は0.25%か0.5%もしくはそれ以上となる可能性もあるだけに内容と相場の反応に注目する所である。いずれにしても株式投資に於いて政治の安定は相場以前の基礎であるだけに不満が高まる安倍氏の退陣は相場の質を根底から変える好材料となるであろう。新内閣と今後の相場の改善に大いに期待する所である。
 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 9月12日の東京株式市場は日経平均株価が反落いたしました。
昨晩の米NY株式市場は。DOWは+180ドルの13308ドル、NASDAQ総合指数は+38.36ポイントの2597.47ポイントとなりました。

 シカゴ平均株価先物大証終値+115円の15,955円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り2340万株、買い2280万株、差し引き60万株の売り越し観測(金額ベースも売り越し)でした。

 東京株式市場は朝高後に引けにかけて売られる展開となっております。日経平均株価始値15,978円と前日終値15,877円から101円高くスタート。前場は高い水準で推移しておりましたが、後場に入ってマイナスに転じました。終盤にかけて売りが加速し−146円の15,731円まで下げる場面がありました。引けは−80円の15,797円で本日の取引を終了しております。

 東証1部の騰落数は、値上がり639銘柄に対し、値下がりは965銘柄、変わらずは114銘柄。東証1部の売買代金は2兆4848億円、売買高は17億3906万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は米NY株式市場高などを好感し買い先行となりましたが、安倍首相辞意表明に揺れ政局混迷への懸念から売られる形となりました。
 個別では、新日本製鐵(5401)、住友金属工業(5405)、神戸製鋼所(5406)など鉄鋼株や、DOWAホールディングス(5714)、三井金属(5706)など非鉄金属株、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、りそなホールディングス(8308)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)など銀行株が下落。

 また、大和証券グループ本社(8601)、三菱UFJ証券(8615)、マネックス・ビーンズ・ホールディングス(8698)など証券株や、三井住友海上火災保険(8752)、日本興亜損害保険(8754)、あいおい損害保険(8761)など保険株が売り物に押され株価を落としております。
 一方、新日本石油(5001)、昭和シェル石油(5002)、石油資源開発(1662)、国際石油開発帝石ホールディングス(1605)など石油株や資源開発株が上昇。三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、住友不動産(8830)など不動産株も続伸し反発継続となっております。

 目立った銘柄では、カリヨン証券が投資判断を新規「BUY」とし目標株価を450円と掲げた三井鉱山(3315)が大幅続伸し東証1部上昇率ランキングトップに君臨。一眼レフ交換レンズ、携帯電話向けレンズが好調のタムロン(7740)も大幅上昇。
 また「ザラ場の銘柄情報」でピックアップのリサ・パートナーズ(8924)、ジョイント・コーポレーション(8874)など大きく売られていた不動産株も買われ東証1部上昇率ランキング上位にランクイン。その他、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)、片倉工業(3001)などが買われております。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は売り物に押され続落。主力株では、スパークス・グループ(8739)、アルデプロ(8925)、ミクシィ(2121)、アンジェス MG(4563)、マネーパートナーズ(8732)などは買われましたが、楽天(4755)、SBIイー・トレード証券(8701)、インデックスHD(4835)、ACCESS(4813)、GCAホールディングス(2126)、日本ベリサイン(3722)などは売り物に押され下落いたしました。
 新興3市場は、JASDAQ平均、マザーズ指数、ヘラクレス指数がそろって売られております。

 個別では、「ザラ場の銘柄情報」でピックアップした銘柄からブロッコリー(2706)が大暴騰を演じ全市場上昇率ランキングトップに君臨。ガンホーオンラインエンターテイメント(3765)、セキュアード・キャピタル・ジャパン(2392)、ゲームオン(3812)、GDH(3755)なども買われております。
 反面、アイフリーク(3845)、オックスホールディングス(2350)、モック(2363)、Jストリーム(4308)、シコー技研(6667)、インターアクション(7725)、インヴァスト証券(8709)などがストップ安に沈んだ他、アイル(3854)、ジーダット(3841)、T&Cホールディングス(3841)、アイティメディア(2148)、TFPコンサルティンググループ(4792)、NTTデータイントラマート(3850)、コムチュア(3844)なども大きく売られております。

 さて、三井鉱山(3315)が暴騰し、安倍首相辞意報道から麻生氏の首相就任先読みとの見方が高まり、漫画やアニメ関連銘柄が一斉高となっております。資金の逃げ足が速いことが予想されますので注意も必要ですが、市場環境の悪化から短期資金は特定銘柄に集まりやすくなっている為、値動き期待がもたれております。
 明日以降も新たに動く銘柄が生まれた場面では一部の資金で動きある銘柄の飛び乗り・飛び降りとなります。

 しかし「9月下旬から本格化する米投資銀行や証券会社の決算発表から下げは本格化する」とした見方があり、それに向け売りポジションを作る動きも続いております。主な決算発表予定日では、9月13日にベアースターンズ、9月17日にファニーメイ、9月18日にリーマン・ブラザーズ、9月19日にモルガン・スタンレー、9月20日ゴールドマン・サックスなどとなっております。
 また、中国市場が今秋にも転換し中国バブルが崩壊するとの声も出ているだけに引き続き市場環境が落ち着きを取り戻すまで【積極的な買い】には注意が必要といえます。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は−80円の15,797円と小反落。昨晩の米NY株式市場は利下げ期待が高まり急反発となりました。東京株式市場は米NY株式市場の上昇やシカゴ平均株価先物大証終値+115円の15,955円と高く買われたことなどから買い優勢で取引を開始。

 日経平均株価は+101円の15,877円と高い位置で取引を開始いたしましたが、寄り付き後は売りに押され下落。買い手が限定される中、先物主導で下げ幅を広げ−154円の15,610円まで売られました。

 日経平均株価始値15,978円と前日終値15,877円から101円高くスタート。前場は高い水準で推移しておりましたが、GLOBEXでS&P500種株価指数先物、ナスダック100株価指数先物の動きが冴えなかったことなどから上値は重く、前場は伸び悩む動きとなりました。
 後場に入ると安倍首相辞意表明が伝わり上下に揺れ動く展開。引けにかけて政局混迷への懸念から売られ−80円の15,797円で引けました。ザラ場では−146円の15,731円まで下げる場面がありました。

 中期基調は下向きを継続。短期基調も下向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは●●○○●●●○●●○●で「4勝8敗」。25日移動平均線は16,232円と下向き継続。日足は短い下ヒゲを持つ陰線を形成いたしました。
 昨日に「このまま陽線を重ね25日移動平均線を抜けてくる上昇を見せると“15,610円が2番底だった”となりますが」と書かせて頂きましたが、本日は高寄り後に売られ陰線を形成、反発継続とはなりませんでした。

 前日安値の15,610円は割り込んでいない為、まだなんともいえませんが、リバウンド一巡から底値を探る展開が予想されますので「買い」は注意が必要です。明日以降本日安値15,610円を割り込むと、8月17日に記録した15,262円をも割り込むような本格的な下落に発展する可能性もあります。
 先日から書かせて頂いておりますが下向きの強い力が働いていることから、積極的に買い向かう場面でもございません。今週末にメジャーSQ、3連休を控えていることから週後半に向けても厳しい動きが懸念されます。引き続き慎重姿勢で臨みます。