NY市場は折からの景気減速懸念と銀行大手の決算発表を控えてダウ238ドル安ナスダック58p安と相変わらず弱い動きが目立っているが東京市場はここ数日で一味も二味も違う動きとなって来た。朝方は163円安と安く始まったが後場から切り返して高値73円高を付けて大引け70円高の14.599円、先物も11万9.875枚の出来高で14.600円引けとなっている。一昨日筆者は相場付きから目先の反転を解説したがNY市場が連日の大幅安となっているにも関わらずのこの数日の動きは完全に相場が変わったと見て良いものと筆者は考える所である。特にこの2日間の相場の中身に於いては相場の柱となっている銘柄群の強い上昇が横へ広がって全体的に強くなるという健全な上昇相場の見本の様な形となっており、ひとつ心配される「折から相場を一変させるNY市場からの突発的な材料」は事前の大幅な下落に依って銀行各社の決算をNY東京共に前向きに受け止める可能性十分である。蓋を開けてみなければわからないものであるが、相場の強い動きから多少とも期待を持って臨みたい所である。

本日の株式市場の全般的な動き

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年1月9日の東京株式市場は日経平均株価が続伸いたしました。
昨晩の米NY株式市場は大幅下落。DOWは−238ドルの12589ドル、NASDAQ総合指数は−58.95ポイントの2440.51ポイントとなりました。
 シカゴ平均株価先物大証終値−140円の14,400円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り3330万株、買い3610万株、差し引き280万株の買い越し観測(金額ベースも買い越し)でした。

 東京株式市場は朝安後に反転上昇しております。日経平均株価始値14,364円と前日終値14,528から164円安くスタート。米国株の急落を受け、一時−257円の14,271円まで下げ幅を広げましたが、その後は上昇基調となりました。後場に入ってプラスに転じ、引けは+70円の14,599円で本日の取引を終了しております。
 東証1部の騰落数は、値上がり1,265銘柄、値下がり366銘柄、変わらずは98銘柄。東証1部の売買代金は2兆8468億円、売買高は22億4021万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は米NY株式市場安を受け先物にヘッジ売りや手仕舞い売りが先行し安く始まりましたが、大手銀行株や鉄鋼株などが買われムードは好転。引けにかけて買いが広がりました。
 個別では、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、りそなホールディングス(8308)など大手銀行株が続伸。西日本シティ銀行(8327)、関東つくば銀行(8338)など地銀株も買われております。

 また、新日本製鐵(5401)、住友金属工業(5405)、ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)など鉄鋼株が続伸。NY金先物の史上最高値更新などから住友金属鉱山(5713)、三菱マテリアル(5711)、三井金属(5706)など非鉄金属株も上昇。伊藤忠商事(8001)、三菱商事(8058)、住友商事(8053)など商社株も続伸いたしました。
 更には、住友不動産(8830)、三菱地所(8802)、東急不動産(8815)などの不動産株や、パシフィックマネジメント(8902)、クリード(8888)、ケネディクス(4321)など不動産ファンド関連株も上昇。日本郵船(9101)、川崎汽船(9107)、乾汽船(9113)など海運株も買われました。

 目立った銘柄では、日本経済新聞が「米国の医薬品市場に本格進出する」と伝えたソネット・エムスリー(2413)や、金先物の上昇から松田産業(7456)、既存店売上が25ヶ月連続前年同月比増加と好調なメガネトップ(7541)がそれぞれストップ高と暴騰。
 また、抗インフルエンザウイルス薬「T―705」の日本国内での臨床第2相試験を開始したとの発表が好感された富山化学工業(4518)を始め、シンキ(8568)、高松建設(1762)、ゴールドクレスト(8871)、NTT都市開発(8933)、タイガースポリマー(4231)なども大きく買われました。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は高安マチマチ。主力株では、SBIイー・トレード証券(8701)、ミクシィ(2121)、ソネットエンタテインメント(3789)、サイバーエージェント(4751)、大阪証券取引所(8697)などは上昇いたしましたが、インデックス・ホールディングス(4835)、フルスピード(2159)、ガンホーオンライン(3765)などは下落いたしました。
 新興3市場は、JASDAQ平均は続落となりましたが、マザーズ指数、ヘラクレス指数はそろって小幅続伸いたしました。

 個別では、まんだらけ(2652)、ベクター(2656)、フォーバルクリエーティブ(2724)、プロパスト(3236)、LTTバイオファーマ(4566)、ジー・トレーディング(3348)などがストップ高となり、日本風力開発(2766)、アイレップ(2132)、アクロディア(3823)、ソネットエンタテインメント(3789)などが幅のある上昇を演じました。

 さて、弱い動きが続いていた東京株式市場ですが、反発基調を強めております。日経平均株価終値こそ70円高ですが、ザラ場安値からは328円幅の上昇を演じるなど強い動きを演じました。
 また、大手銀行株や鉄鋼株の上昇に、「国内年金の買い」「オイルマネーの買い」との見方も出ております。これで米NY株式市場が落ち着いてくれば売り方の買戻しに見直し買いも進み、月末にかけての上昇も期待されます。

 リバウンド後の更なる下落に対しての不安も高いことから積極的にか買い向かえませんが、反発機運の高まりからも以前より大幅上昇を演じる銘柄も出てきております。朝方動きの出た銘柄などを『飛び乗り飛び降りトレード』で狙って行けます。
 「ザラ場の銘柄情報」では日々、『飛び乗り飛び降りトレード』をピックアップしております。本日も、ソネット・エムスリー(2413)、ソネットエンタテインメント(3789)、日本風力開発(2766)、富山化学工業(4518)、インテリジェンス(4757)、住友金属鉱山(5713)などの伸びをキャッチした形となりました。ザラ場市場に向き合える方は会員WEBページの「ザラ場の銘柄情報」も参考にして下さいませ。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は+70円の14,599円と続伸いたしました。
 昨晩の米NY株式市場はAT&Tが景気減速で個人向け事業に懸念を表明したことや、住宅ローン大手のカントリーワイド・ファイナンシャルに破綻の噂が広がるなど大幅下落となりました。
 東京株式市場は米NY株安や、シカゴ平均株価先物大証終値−140円の14,400円と売られたことなどが嫌気され売り優勢で取引をスタートいたしました。

 日経平均株価は−164円の14,364円と安く取引を開始。寄り付き後に−257円の14,271円まで売られましたが、その後は押し目買いが入り反発。引けにかけて下値を切り上げ+70円の14,599円で取引を終了。ほぼ高値引けとなっております。
  昨日に「テクニカル的にはここから2・3日の戻りが想定されます」と書かせて頂きましたが、そうした動きとなっております。中期基調は下向き。短期基調も下向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは●●○○○○●●●●○○と「6勝6敗」。25日移動平均線は15,394円と下向き。日足は短い下ヒゲを持つ幅のある陽線を形成。並び赤・陽の陽包みのような日足となっております。

 米NY株式市場の大幅安から「せっかく反発に転じた日経平均株価も米NY大幅安でまた大幅安か」と思われましたが、1日の取引を終えてみれば「70円高」と予想以上に強い動きを演じました。
 本日安値の14,271円から328円幅の上昇を遂げほぼ高値引けとなっており、市場では「これで底打ちだ!」と強気な見方も増えております。

 先週末からお伝えしたとおりテクニカル的には目先底打ちが期待される位置を経ての反発ですので『底打ち』したと判断しても良いとも思われます。週末に向けまずは14,900円前後までの反発が予想されます。
 しかしこの反発も約1,300円幅の下落に対しての単なるリバウンドとなり今週いっぱいの反発後は再度売られ「14,000円をも割り込む下落となる」可能性もあるので引き続き注意も必要です。