日経平均は、年初来3番目となる上げ幅を記録しての高値引け。約1ヵ月ぶりに13000円の大台を回復し、25日移動平均(12778円)をも上回った。3月末の戻り局面では、13000円及び25日移動平均が上値抵抗ラインとして意識されていただけに、今後はこれらが下値支持になることを期待したい。とはいえ、上昇の牽引役となった金融、不動産株の上昇を見る限り、売り方の買い戻しの色彩が強そうだ。また、東証1部の売買代金も前日比14.6%増となったが、活況の目安とされる3兆円には遠く及ばない水準。投資家心理は若干改善したとみられるが、今後の相場上昇の持続性に関しては疑問符が付く点も多い。今回と同様な局面は2月14日もみられた。当時は市場予想を大幅に上回る10-12月GDPを手掛かりに日経平均は今年最大の上げ幅を記録。25日移動平均をも上回ったことで底入れ感が高まったが、その後は円高進行を受けて失速した経緯がある。

 今回の大幅高のきっかけとなったのは、欧米金融大手(米証券大手リーマン・ブラザーズや欧州銀行最大手UBS)の資本増強策。だが、昨年末から評価損計上のたびにSWFなどからの出資を仰ぐという構図が繰り返されていることや、巨額の評価損計上にも関わらず未だ打ち止め感がないことを勘案すれば、今回の資本増強で金融不安が後退との見方は楽観的過ぎると言わざるを得ない。また、3月ISM製造業景況感指数が市場予想を上回ったことも好材料視されたが、好不況を判断する分かれ目である50%を2ヵ月連続で下回っていることにも留意したい。これまでのような過度な悲観論は後退しつつあるとはいえ、今週末には米雇用統計が控えているだけに安易な楽観論は禁物だろう。
本日の東京市場、NY市場に於けるリーマンブラザーズの資金調達やUBSの大規模増資に依って信用不安が後退した事を背景とする大幅な上昇とシカゴ225先物の13.245引けを受けて179円高で始まり高値で揉み合い大引けにかけて一段高の532円高13.189円高値引け、先物出来高9万6.712枚で13.180円引けと強力な上昇の一日となっている。現在の相場に於ける最大の下落要因であるアメリカに於ける金融大手に対する信用不安が後退した事をキッカケに必要以上に下げ過ぎた分だけ強い上昇に入ったという本日の動きである。しかし、中身を見ると幅広く上昇する全面高の形となっているが健全な上昇相場に必要なこの相場の核となっている流れが安く終わっている点が気になる所である。全体相場が一応上昇する中で中身が歪で伴っていないここ数日の形がまだ続いているという事であり、完全に上値を取りに向かう芯のある上昇相場に入ったと判断するにはもう少々中身の変化を見極める事が大切な場面である。

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年4月2日の東京株式市場は日経平均株価が大幅続伸いたしました。
昨晩の米NY株式市場は大幅上昇。DOWは+391ドルの12,654ドル、NASDAQ総合指数は+83.65ポイントの2,362.75ポイントとなりました。
 シカゴ平均株価先物大証終値+565円の13,245円と大幅上昇。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り3260万株、買い4740万株、差し引き1480万株の買い越し観測(金額ベースでも大幅の買い越し)でした。

 東京株式市場は米NY株式市場の大幅上昇を好感し暴騰。日経平均株価始値12,836円と前日終値12,656円から180円高くスタートし、直後に13,000円台を回復。幅広い銘柄が買われ終始高値圏で推移いたしました。引けは+532円の13,189円で取引を終了しております。
 東証1部の騰落数は、値上がり1,474銘柄、値下がり187銘柄、変わらずは63銘柄。東証1部の売買代金は2兆4455億円、売買高は20億6770万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 本日の東京株式市場は大幅上昇・全面高です。グダグダとした相場から眼を覚ましたかのような『スカッ』とする上昇となりました。
 個別では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、りそなホールディングス(8308)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)など大手銀行株や、日本興亜損害保険(8754)、損保ジャパン(8755)、あいおい損害保険(8761)など損保株が大幅上昇。

 三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、東京建物(8804)など大手不動産株や、大和証券グループ本社(8601)、野村ホールディングス(8604)、新光証券(8606)など証券株が上昇。新日本製鐵(5401)、神戸製鋼所(5406)、ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)など鉄鋼株、トヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)、ホンダ(7267)など自動車株も買われております。
 また、ソニー(6758)、キヤノン(7751)、ファナック(6954)などハイテク株も買われ上昇いたしました。

 目立った銘柄では、これまで大きく売り込まれていた不動産ファンド関連株が大幅上昇。「ザラ場の銘柄情報」でピックアップしたアーバンコーポレイション(8868)、クリード(8888)、ジョイント・コーポレーション(8874)が揃って大幅高となり、東証1部上昇率ランキング3位・4位・5位と上位を独占。
 その他、日本化成(4007)、アトリウム(8993)、SFCG(8597)、アビリット(6423)などが大きく買われました。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は堅調に推移しております。主力株では、楽天(4755)を始め、日本マイクロニクス(6871)、オプト(2389)、日本アジア投資(8518)、サイバー・コミュニケーションズ(4788)、マネーパートナーズ(8732)などが上昇いたしましたが、スパークス・グループ(8739)、アンジェス MG(4563)、ザッパラス(3770)、ガンホーオンライン(3765)などは下落しております。
 新興3市場は、JASDAQ平均、マザーズ指数、ヘラクレス指数は上昇いたしました。

 個別では、「特別会員銘柄」の情報企画(3712)、「ザラ場の銘柄情報」ピックアップのダヴィンチ・アドバイザーズ(4314)がストップ高となったのを始め、アセット・マネジャーズHD(2337)、プロパスト(3236)、ディー・ディー・エス(3782)、コムチュア(3844)、インデックスHD(4835)、フィンテック グローバル(8789)、アルデプロ(8925)、リプラス(8936)などがストップ高となりました。

 さて、「下がる下がる」といわれる中、ジリジリと上昇し本日“ドカン”と上昇。不動産ファンド関連銘柄にストップ高で張り付くものが多くなっております。連日の上昇から投資家心理が改善し空売りの買戻しに合わせて「買ってみようか」と資金が入ってきたことが予想されます。
 まだ市場に対して先行き不透明感も残っていることから、一本調子の上昇は期待できませんが、今年は夏に向けて大きく取れる相場が期待されます。ようやく「買い」で取れる相場の到来となりそうです。ここからは押し目待ちとなります。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は+532円の13,189円と大幅上昇・高値引けとなりました。昨晩の米NY株式市場は大幅続伸。証券大手リーマン・ブラザーズ優先株発行による資本調達を発表。金融株中心に幅広い銘柄が買われました。
 東京株式市場は、米NY株式市場の大幅上昇やシカゴ平均株価先物大証終値+565円の13,245円と大きく買われたことから買い優勢で取引を開始いたしました。

 日経平均株価は+180円の12,836円と高く始まり、寄り付き後も崩れることなく上昇。後場に入ってもしっかりと推移し、引けは+532円の13,189円と本日の高値で売買を終えました。
 中期基調は上向き。短期基調は下向きから上向きに転換いたしました。日経平均株価のサイコロは●○○○●○●●○●○○と「7勝5敗」。25日移動平均線は12,778円と下向き。日足は上放れの陽線で一般的には「買い線」とされます。

 チャートは25日移動平均線に頭を押さえつけられておりましたが、本日突き抜けてきました。昨日に「明日は上にも下にも動ける形となっております。下げても上げても大きな動きになりやすいので、朝方振れた方向で判断していきます」と書かせて頂きましたが、上に振れたので素直に上に付く形となります。
 ただ、本日13,100円台まで上げてきたことから、堅調に推移してもイメージとしてはあと2・3日の上昇か。目先高値を付けた後に売られ短期調整入りとなることが予想されます。

 ここからは、丁寧に見ていくのでしたら高値を追いかけるのではなく、むしろその後の『押し目』を狙っていく形といえます。それまでは当日値幅が生まれそうな銘柄をコツコツ取っていく形となります。