来週は日米ともに大きなイベントがないだけに、今週の流れを引き続く形となりそうだ。日経平均の価格帯別売買高をみると、14000円台は年初来で僅か12日間(終値ベース)しかない真空状態。2月末、5月上旬の戻り高値を上抜いてきており、外国人投資家の買いが続けば先物主導で15000円に迫る可能性もありそうだ。とはいえ、直近の急ピッチな上昇で短期的に高値警戒感も台頭しつつあるのも確か。外部環境に再び暗雲が漂えば、利益確定売りに押される可能背も十分考えられる。足元で、株式市場との連動性を強めている債券市場の動向にも注意を払いたい。世界的な金利上昇を背景に、14日には長期金利の代表的な指標である新発10年物国債利回りは昨年10月中旬以来となる1.7%台に上昇した。通常、金利上昇は株式市場にとって逆風となるはずだが、負債を多く抱える不動産株の上昇などを見る限り、それほど悪材料視する向きはないようだ。むしろ、米景気減速懸念の後退や、リスク許容度の高まりを感じさせる。先月末から随所にみられる「債券売り・株買い」が、来週も見られるかどうか注目したい。なお、3月期決算企業の本決算発表がピークを過ぎたことで、来週は決算内容を吟味した物色動向が予想される。厳しい経営環境下でも前期実績が計画超過、今期見通しがコンセンサスを上回る見通しを示した銘柄に対する高い評価は続きそうだが、保守的な見通しを示したことで売り込まれた銘柄などにも再評価する動きが見られるかどうか注目したい。

 ■□ 本日の株式市場の全般的な動き □■

 2008年5月16日の東京株式市場は日経平均株価が小幅反落いたしました。
昨晩の米NY株式市場は上昇。DOWは+94ドルの12,992ドル、NASDAQ総合指数は+37.03ポイントの2,533.73ポイントとなりました。
 シカゴ平均株価先物大証終値+115円の14,375円。寄り付き前の外資系証券13社経由の注文状況は、売り2420万株、買い4420万株で、差し引き2000万株の大幅買い越し(金額ベースも買い越し)観測でした。

 東京株式市場は一服商状。日経平均株価始値14,363円と前日終値14,251円から112円高くスタート。直後に14,392円まで上昇しましたが、その後は利益確定売りが優勢となり反落。前日終値付近で推移し、引けは−32円の14,219円で本日の取引を終了いたしました。
 東証1部の騰落数は、値上がり656銘柄、値下がり944銘柄、変わらずは120銘柄。東証1部の売買代金は2兆6,110億円、売買高は22億7,823万株となっております。

 ■□ 主力株・1部2部銘柄などの動き □■

 週末金曜日、本日の東京株式市場は売り買い交差のもみ合い商状となりました。
 個別では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)など大手銀行株や、大和証券グループ本社(8601)、野村ホールディングス(8604)、新光証券(8606)など証券株が買われ続伸。

  新日本製鐵(5401)、住友金属工業(5405)、神戸製鋼所(5406)など鉄鋼株や、住友金属鉱山(5713)、三菱マテリアル(5711)、DOWAホールディングス(5714)など非鉄金属株が続伸。
 商船三井(9104)、川崎汽船(9107)、新和海運(9110)など海運株や、伊藤忠商事(8001)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)など商社株も買われ上昇いたしました。

 目立った銘柄では、決算発表からタチエス(7239)がストップ高まで買われた他、大紀アルミニウム工業所(5702)、五洋建設(1893)、佐世保重工業(7007)、メガネトップ(7541)、鹿島(1812)などが上昇。その他、松尾橋梁(5913)、サカイ引越センター(9039)、トウペ(4614)などが買われております。
 反面、野村証券が「2」から「3」に格下げ、JPモルガンが「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に格下げしたゴールドクレスト(8871)がストップ安に沈んだ他、大幅減益予想のエクセル(7591)、業績の下方修正が嫌気されたアルバック(6728)もストップ安。また、トランスコスモス(9715)、石原産業(4028)、ホクシン(7897)、ミツミ電機(6767)なども大きく売られております。

 ■□ 新興市場銘柄の動きと投資戦略 □■

 本日の新興市場は売り物に押され下落いたしました。主力株では、楽天(4755)が第1四半期の最終減益が嫌気されストップ安に沈んだ他、ACCESS(4813)、ワークスアプリケーションズ(4329)、日本ベリサイン(3722)、ザッパラス(3770)、アクロディア(3823)、ダヴィンチ・アドバイザーズ(4314)などが下落。フリービット(3843)、スパークス・グループ(8739)、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(8458)などは買われております。
 新興3市場は、JASDAQ平均は上昇いたしましたが、マザーズ指数、ヘラクレス指数は下落いたしました。

 個別では、プレステージ・インター(4290)を始め、地域新聞社(2164)、エス・エム・エス(2175)、ウルシステムズ(3798)、リアルコム(3856)、LTTバイオファーマ(4566)、トライアイズ(4840)、ネットインデックス(6634)、ユー・エム・シー・ジャパン(6939)などがストップ高まで上昇。その他、日本マニュファクチャリングサービス(2162)、アールテック・ウエノ(4573)、ミマキエンジニアリング(6638)などが買われました。

 さて、日経平均株価は小幅安と一服。しかし、鉄鋼株や非鉄金属株など資源株は堅調です。他に比べ出遅れ感があったセクタ−が動き出したということもあり、日経平均は下げておりますが市場のムードはそれほど悪くはありません。
 来週は主力株が一服した場面でどのような銘柄に短期資金が向かうか注意して見て行きます。投資家心理も改善しておりますので、仕手性材料株なども動き出せば幅が出ます。

 ■□ 日経平均株価の動向と予想 □■

 本日の日経平均株価は−32円の14,219円と5日ぶりの下落となりました。
 昨晩の米NY株式市場は上昇。原油先物相場下落が下支えとなりハイテク銘柄を中心に買われております。フィラデルフィア証券取引所半導体株指数(SOX)は昨年12月以来の高値となり、NASDAQ総合指数は4ヶ月ぶりの高値を記録と堅調です。
 東京株式市場は米NY株式市場の上昇に、シカゴ平均株価先物大証終値+115円の14,375円と高く買われたこと、更には寄り付き前に発表された1-3月期GDP(国内総生産)速報値が市場予想を上回ったことなどが好感され、買い優勢で取引を開始いたしました。

 日経平均株価は+112円の14,363円と高くスタート。寄り付き直後に+141円の14,392円まで買われた場面がありましたが、その後は売り物に押され上げ幅を縮小。後場は売り買い交差しもみ合い商状が続きました。引けは−32円の14,219円となっております。
 中期基調はフラットに転換。短期基調は上向き継続となっております。日経平均株価のサイコロは○●●○○●●○○○○●と「7勝5敗」。25日移動平均線は13,643円と上向き。日足は陰線を形成。一服。

 4月7日の14,208円から12日の13,540円まで3営業日で668円幅の下落を演じた後の上昇も、本日高値の14,392円まで852円幅の上昇となりました。売り物が出易い週末要因も重なりその後は流石に下落し終値14,219円となっております。
 しかしそれにしても大きく上げました。3月17日の11,691円から本日高値の14,392円まで2,701円幅の上昇。率にして23.10%の上昇となっております。個別銘柄で23%の上昇でしたら特別視するほどではございませんが、日経平均株価のワントレンドでの上昇で23%となるとそうそうございません。それだけ今回の相場が大きいということです。

 引き続きテクニカルで超過熱圏に入るまで、或いは腰折れになるまでは順張りで見ていく形となります。ただ更に上昇する為には本日のような下げの日も必要です。来週は売り物に押される軟調な動きを予想しております。