29日後場の東京株式市場は、高値圏でもみ合い、平均株価は前日比415円03銭高の1万4124円47銭と大幅反発。終値で5月20日以来7営業日ぶりに1万4100円台を回復した。値上がり銘柄数は1497(値下がり173)と全体の86%強に達し、全面高商状となった。

 後場寄り後は先物市場への大口買いに、平均株価は一時438円高まで上昇。主力株中心に物色が続いた上、「債券市場でゆうちょ銀行の売りが出ている」(中堅証券)との見方から、債券との裁定取引を見越した買いも入った。ただ、先物市場で1万4100円以上に5000枚売りが観測されたほか、高値警戒感もあり、上値追いは限定的。現地29日の米第1四半期(1〜3月)GDP(国内総生産)発表やバーナンキFRB米連邦準備制度理事会)議長講演、あす30日寄り前の4月全国消費者物価指数や4月鉱工業生産発表などを前に手控えムードもあった。

 市場からは、「前場から大口の欧州年金資金がコア銘柄に継続的に入り、指数を押し上げている。また、低位株が動意づくなど個人投資家の買い意欲も戻ってきた。先物売りがたまっている1万4100円オーバーを手前に正念場を迎えているが、個人投資家の買いが広がれば、上値を試す展開も想定される」(米系証券)との声が聞かれた。

 出来高は19億4621万株。売買代金は2兆3391億円。午後3時時点の東京外国為替市場は、1ドル=105円前後(28日終値は1ドル=103円95銭)で取引されている。

 東証業種別では全33業種中32業種が上昇。ドル高・円安進行を背景に、欧州年金買いが観測されたキヤノン <7751> や、ファナック <6954> 、京セラ <6971> など値がさハイテク株が指数上昇をけん引。マツダ <7261> 、日産自 <7201> など自動車株や、浜ゴム <5101> 、住友ゴム <5110> などタイヤ株も上げ基調。大和総研が投資判断「1」(強気)に2段階引き上げたNTT都市 <8933> 、優先株1000万株の買い入れ消却を発表した大京 <8840> や、住友不 <8830> など不動産株も上げ基調となり、業種別値上がり率トップとなった。

 日本興亜 <8754> 、あいおい <8761> など保険株も堅調に推移し、三井住友 <8316> 、あおぞら <8304> など銀行株や、新光証券 <8606> 、大和証G <8601> など証券株にも買いが継続。イオン <8267> 、ファストリテ <9983> など小売株も上値慕いとなった。個別では、午後に株主総会で取締役選任案が否決されたアデランスH <8170> が一時ストップ高し、年初来高値を更新。古河電池 <6937> 、日農薬 <4997> 、近畿車 <7122> なども新高値を付けた。

 半面、鋼管12万本のデータねつ造が報じられた新日鉄 <5401> や、住金 <5405> など鉄鋼株の一角が小幅安。個別では、08年3月期連結で最終赤字転落となり、みずほ証が投資判断「3」(中立)に引き下げたユニデン <6815> がストップ安ウリ気配のまま。ゴールドマン証やカリヨン証が格下げしたOKI <6703> も大幅安。三菱UFJ <8306> による完全子会社化が発表された三菱Uニコス <8583> は、株式交換比率(三菱Uニコス株1株に対し、三菱UFJ株0.37株)にサヤ寄せし、急落した。

[ 株式新聞ダイジェスト ]
提供:モーニングスター