来週は上値追いの展開を期待したい。名実ともに6月相場入りとなるが、日経平均の6月のパフォーマンスは良好。過去10年の騰落状況は8勝2敗で、とりわけ足元で5連勝中。例年、月初から堅調に推移しているだけに、外部環境の落ち着きが続けば、今年も上昇が期待できそうだ。日経平均は、チャート面で大発会につけた年初来高値(15156円)と、3月17日に付けた年初来安値(11691円)を起点とした三角保ち合いが終着点に近づきつつある。それだけに、5月16日に付けた直近の戻り高値(14392円)を突破すれば一気に上離れし、15000円に迫る展開も期待できる。とはいえ、直近の急ピッチな上昇でやや高値警戒感が台頭しつつあるのも確か。戻り高値を目前に失速し、再び14000円や25日移動平均を割り込む展開となれば、三尊天井が形成される可能性も否定できない。

 米長期金利は5ヵ月ぶりに4%台乗せ、日本では新発10年国債の利回りが昨年8月以来の1.8%台に上昇するなど、世界的な金利上昇の流れを受けて、「債券売り・株買い」の色彩が強まるのか、巻き戻しの動きがでるのか注目される。イベント面では、日本は1-3月法人企業統計、米国ではISM製造業・非製造業景気指数、週末の雇用統計が注目されよう。

 また、外国人投資家のスタンスが変わるかどうか注目したい。日経平均が18000円近くにあった昨年夏、スティールから敵対的買収を仕掛けられたブルドッグが、スティールの持ち株分を稀釈化させる買収防衛策を発動。スティール側は不当性を訴えたが、最高裁株主総会で大多数の株主が発動に賛成したことを防衛策容認の理由に挙げて棄却した。昨秋以降の、相場下落はサブプライム問題の影響が大きかったとはいえ、ブルドッグによる買収防衛策の発動が外国人投資家の日本株に対してネガティブな影響を与えたと言われている。そのスティールは今回、アデランスの株主総会で会社側が提案した岡本社長ら7人の取締役の再任を反対多数で否決に成功。スティール以外の株主の間にも取締役の再任に反対する動きが広がったとみられており、アデランスのみならず株主還元策の強化を迫られる企業が増えれば、外国人投資家の買い意欲を高める可能性がありそうだ。