来週は弱含みの展開が予想される。東京市場は相対的な強さをみせてきたが、それは外国人投資家が日本株に対する評価を「弱気」→「中立」に変更した際の買い戻しに過ぎないとみられ、ファンダメンタルズ面での裏付は乏しい。その一方で、スタグフレーション懸念から世界同時株安の様相を呈しており、東京市場もその渦に巻き込まれかねない。日経平均は、チャート面で大発会につけた年初来高値(15156円)と、3月17日に付けた年初来安値(11691円)を起点とした三角保ち合いが終着点に近づきつつある。外部環境が好転すれば上ブレする可能性もありえようが、足元の状況を勘案すれば下ブレする確率が高そうだ。

 来週はFOMCに注目が集まりそうだ。昨年9月以降、7ヵ月半で7回、計3.25%もの利下げが行われてきたが利下げ休止が現実味を帯びている。FRBは4月まで景気悪化に強い危機感を示していたが、原油価格の高騰に拍車がかかった5月以降にインフレ警戒感を示している。今回は政策金利を維持する公算が大きいが、年内の利上げも視野に入りつつあるとみられ、今後の行方を占う意味でも声明文に要注目だろう。国内では、5月CPI(全国消費者物価)が鍵を握りそうだ。3月CPIは前年同月比+1.2%と10年ぶりの上昇率を記録し、エネルギーと食料を除くベースでも+0.1%と9年半ぶりに上昇に転じた。4月CPIは暫定税率の期限切れに伴うガソリン価格の下落で伸び率が鈍化したとはいえ、穀類を中心に食料品が幅広く値上がりした。今回の5月分は暫定税率が復活したことで再び上昇幅が拡大する公算が高い。日本の長期金利は昨夏のサブプライム問題が明るみにでる以前の水準まで上昇し、米長期金利は5月末に4%台を突破するなど上昇ピッチが早くなってるが、FOMC、5月CPIを受けてどう動くか注目される。また、3月期決算企業の株主総会が相次ぎ26日にピークを迎える。それほど大きな波乱はなさそうだが、5月末に行われたアデランスの株主総会では会社側が提案した岡本社長ら7人の取締役の再任を反対多数で否決となった経緯があるだけに、ファンドとの対立が強まっている日本興亜、Jパワーなどの動向に注目されよう。なお、資生堂のように買収防衛策の解除に踏み切る企業が出現すれば、ポジティブに評価されそうだ。