日経平均は売り一巡後に下げ渋り、下ヒゲをつけての陽線となったことで、目先底打ちを期待する向きもあろう。とはいえ、約2ヵ月半ぶり(4月8〜10日以来)の3日続落となり、これまでの押し目買いによる成功パターンが崩れつつある。東証1部の売買代金が前日比8%減の1兆9464億円と、再び2兆円を割り込んだところを勘案すると、押し目買い意慾は乏しく、売り方の買い戻し以外の買い手は不在のようだ。また、新安値銘柄数は前日比2.2倍の89と、3月18日(281)以来の高水準となるなど、底割れ銘柄が増えてきたのも気掛かり。チャート面では大発会につけた年初来高値(15156円)と、3月17日に付けた年初来安値(11691円)を起点とした三角保ち合いはほぼ終着点に差し掛かったが、今回の3日続落で下ブレし始めている。外部環境の悪化が続けば、今後調整色を強める可能性は高そうだ。

 寄り付き前に発表された4-6月期の法人企業統計景気予測調査では、大企業全産業の景況判断指数が-15.2(前回は-9.3)と大幅に悪化し、2四半期続けて調査開始後の過去最低を更新。全産業と製造業、非製造業の全ての企業規模の業況判断が大幅なマイナスで、中堅企業の製造業を除く業種がすべて過去最低を記録するなど散々な結果。同調査は日銀短観の前哨戦と見られるだけに、先行き不透明感は更に強まったと言えそうだ。
23日後場の東京株式市場は、平均株価が前週末比84円61銭安の1万3857円47銭と3日続落したが、下げ幅を縮小した。

 前引けにかけ切り返した流れを継続し、下げ渋る展開。GLOBEX(シカゴ先物取引システム)での米株価指数先物の堅調推移や、香港ハンセン指数がプラス転換するなどアジア株の底堅い動きに加え、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が今週半ばから日本株に2500億円規模の買いを設定するもよう」(市場関係者)との観測も後押し要因となった。ただ、積極買いは手控えられ、買い戻し主体で切り返しの動きは限定された。

 市場では、「寄り付きで売りから入った短期筋が、下に行かないと見て買い戻しているにすぎない。平均株価が1万3500円程度まで下げれば押し目買いも入りやすいが、足元の水準では短期の売り方の独り相撲だ。今週も外部環境次第でブレやすいが、平均株価は1万3500円から1万4000円程度が基本となるだろう」(いちよし投資顧問・運用部長・秋野充成氏)との声が聞かれた。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり530、値下がり1069。出来高は18億2671万株。売買代金は1兆9463億円。午後3時時点の東京外国為替市場は1ドル=107円台前半(20日終値は1ドル=107円69銭)で取引されている。

 東証業種別株価指数では全33業種中、23業種が下落。菱地所 <8802> 、東建物 <8804> など不動産株が軟調新光証券 <8606> 、野村 <8604> など証券株や、中央三井 <8309> 、住友信託 <8403> など銀行株、T&DHD <8795> 、損保ジャパン <8755> など保険株も下落した。デンソー <6902> 、トヨタ <7203> など自動車関連株も下押した。個別では、シーズクリエ <8921> が一段安となり、上場来安値を更新。09年2月期第1四半期(単体)の減益決算を受け、野村証が投資判断「3」(中立)に引き下げた西松屋チェ <7545> も売られた。

 半面、HOYA <7741> 、オリンパス <7733> など精密機器株が堅調。Jパワー <9513> 、関西電 <9503> など電力株にも買いが継続した。個別では、トウペ <4614> がストップ高比例配分となり、年初来高値を更新。ほか、三晃金 <1972> 、中国工 <5974> 、チタン工 <4098> など値動きの良い低位株に大幅高が目立った。