下半期も厳しい船出
 名実ともに2008年の下半期相場入りしたが、厳しい船出になったようだ。日経平均は朝方上昇してスタートするも13600円を目前に失速、心理的な節目の13500円を割り込み下げに転じるという、まるで前日の再現VTRのような相場展開。市場予想を上回る日銀短観、前日までの8日続落を勘案すれば、自律反発があっても不思議ではなかったが、後場失速したところに先行き不透明感が滲み出ている。日経平均は2004年9月15日〜29日以来(約3年9ヵ月ぶり)の9日続落を記録したが、その間の下げ幅は1000円程度。世界同時株安の渦に巻き込まれてはいるが意外に底堅い日経平均が下落したのは年初来で62営業日を数え、100円未満の小幅な下落は19回、そのうち4回が今回の続落局面のもの。下値を売り叩く状況に至ってはいないが、徐々に下値を切り下げる展開は押し目買い意欲を削ぎかねない。

 寄り付き前に発表された6月日銀短観は、代表的な指標である大企業製造業DIが+5(前回比-6)と3四半期連続で悪化し、2003年9月(+1)以来の低水準となった。市場予想(+3)を上回る着地だったとはいえ、短観の回答が集中した回答基準日(6月12日)以降に、商品市況が急騰するなど景況感はさらに悪化しており、次回はマイナスに転落する可能性も否定できない。中小企業に至っては、製造業・非製造業ともに大幅なマイナスで、深刻の度が増している。また、仕入れ価格DI(仕入れ価格が「上昇」と答えた割合から「下落」との回答を差し引いて出す)は大企業製造業で59(前回比+9)と3四半期連続で悪化し、1980年5月(77)以来の高い水準を記録するなど、販売価格が転嫁しきれていない実態が浮き彫りになったといえよう。業績面では、大企業全産業の経常利益見込みが前年比9.9%減と7年ぶりの減益見通しだが、下期回復の前提だけに楽観的とみられても仕方がない。2008年度の想定為替レート(大企業製造業)は、足元の現状に即して1ドル=102円74銭と(前回時109円21銭)へと修正された。まだ余裕があるとはいえ、この水準を割り込むと業績悪化への警戒感が強まりそうだ。