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欧米市場の動向を見定め
 日経平均は大幅安から急速に切り返したのは評価できるが、売り方の買戻しの色彩が強かったようだ。相場を牽引した銘柄群をみると、金融、不動産、国際優良株など直近売り込まれていたものばかりで、逆に比較的値持ちが良かった資源関連は軒並み安。投資余力が低下した個人投資家、外国人投資家などの押し目買い意欲は乏しく、売り方の買い戻し以外の買い手は見当たらないようだ。日経平均は小幅ながら下落し、1954年4月28日〜1954年5月18日(15日続落)以来となる11日続落(過去4番目)を記録。前日の米国市場では破綻の可能性を指摘されたGM株が急落(1954年以来の安値を更新)したのが話題となったが、日経平均、GMとも54年ぶり(1954年以来)のワースト記録になったのは、足元のベア相場の象徴であり偶然の産物ではなかろう。

 外部環境の好転以外に、日本株が浮上することは考えらないだけに、今夜の欧米市場の動向が大きく鍵を握りそうだ。ECBは2007年6月以来、政策金利を4%で据え置いているが、今回のECB理事会で0.25%の利上げが濃厚となっており、今後も利上げを行うか否かが焦点となりそう。ただ、6月のユーロ圏15ヵ国のCPI上昇率は前年同月比+4.0%と、5月につけた1999年の通貨統合後の最高水準(同3.7%)を更新。ガソリンなどエネルギー価格の上昇が続いているほか、家賃や食料品の値上げにも歯止めがかっていない状況で、ECBの掲げるCPI上昇率の目標(2%)を大幅に上回る水準だけに、今後も利上げに臨む公算が大きい。となれば、「ユーロ高・ドル安→商品市況の高騰」という構図が続きかねない。米国では6月の雇用統計が発表される。前哨戦と目された6月ADP雇用統計では、民間雇用者が7.9万人減と、市場予想(2万人減)を大幅に下回った。同統計は直後に発表になる政府の雇用統計を上回る強い内容になる例が多いことを関すると、今夜の雇用統計も厳しい数値になる可能性が高い。ちなみに、5月統計では失業率が1986年以来で最大の伸びを記録したことで、株価急落、商品市況の急騰を招いた経緯があり、その再現が起こる可能性を否定できない。今回の雇用統計が市場予想(失業率5.4%、非農業部門雇用者数6万人減)を大きく上回る着地となれば、大幅反発することも考えられなくはないが、その可能性は低そうだ。