日経平均は、前日に12日続落という長いトンネルを抜け出したが、単なる買戻しに過ぎなかったようだ。きょうは外部環境の悪化で再び売り直され、約3ヵ月ぶりの13000円割れを余儀なくされ、正念場を迎えたと言っても過言ではない。電力・ガスを除く32業種の下落、売買代金上位23社が下落するなど文字通りの全面安となったが、とりわけ東証1部の値下がり銘柄数が、円高進行で急落した3月17日(日経平均が年初来安値を更新するなど陰の極みと思われた)の値下がり銘柄数(1507銘柄)をも上回ったことに現状の深刻さが垣間見える。これほどまでに相場が崩れることを予想した向きは少なかったと思われるが、今まで積み重なってきた悪材料がボディーブローのように効き始めたのかもしれない。また、一時期に比べ、債券相場との連動性は薄れつつあったが、この日は「債券買い・株売り」が下げを加速させたとみられる。投資家のリスク回避姿勢の表れだろうが、あす以降もこの構図が続くのか否か注目したい。

 東証1部の売買代金は辛うじて2兆円の大台を回復したが、急落・大台割れという状況でも商いは低迷している。マザーズヘラクレス指数が算出来の安値を下回るなど、投資家心理は極度に冷え込んでおり、押し目買いどころではなさそうだ。物色面でも、前日の相場上昇を牽引した金融、不動産が揃って大幅反落するなど、売り方の買い戻し以外の買い手不在が浮き彫りになったといえよう。足元では、小売各社の決算発表が本格化し、大引け後にイオン、セブン&アイが決算を発表した。コンビニ事業はタバコ特需で堅調だが、個人消費の低迷で本業は極めて厳しい状況のもようで、企業業績の側面からも不透明感が強まっている。