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日銀短観で景気後退が更に意識されるか
 29日の米国株式市場は暴落。NYダウが777.7ドル安(-7.0%)、S&P500が106.6ポイント安(-8.8%)、ナスダックが199.6ポイント安(-9.1%)、NY原油は10.52ドル安(-9.8%)となった。NYダウは同時多発テロ時を上回り史上最大の下げ幅、S&Pは1987年のブラックマンデー以来の大幅安、NY原油湾岸戦争開戦直後(1991年1月17日)以来、2番目の下げ幅と、記録的な下落に見舞われた。欧州市場では経営難に陥った金融機関(ベルギー、オランダ系のフォルティス、英国のB&B、ドイツのヒポ・レアルエステート・ホールディング)が相次ぎ国有化される事態に発展するなど、金融危機が世界各地に伝播するなか、震源地の米国では下院が金融安定化法案を否決。政府の当初案から、民主・共和両党の幹部による調整を経て成立の合意に達し、マーケットは可決後のシナリオを模索していた状況だけに、法案否決は寝耳に水となったようだ。シカゴ・オプション取引所の「恐怖指数」との異名を取るVIX(ボラティリティー)指数は、の46.72 (前日比+11.98、+34.4%)に上昇し、過去最高を記録。同指数は、一般に20を下回ると「平常」、20〜30は「警戒」、30超で「総悲観」とされているが、現状は極限状態に達しているとみられる。金融安定化法案で投入予定の公的資金額は最大7000億ドルに対して、29日の米国株式市場が失った時価総額は1兆1000億ドル。単純に比較することは出来ないが、マーケットの動揺ぶりが窺えよう。今後は、何らかの修正を経て法案可決に至るとみられるが、米議会の及び腰の姿勢を見る限り、金融危機が沈静化に向かうとは考えにくい。

 日経平均は世界同時株安に飲み込まれる形で大幅安となり、9月18日につけた年初来安値(11301円)を更新。四半期ベースの終値では14四半期ぶり(2005年6月以来)の12000円割れとなった。米金融危機に隠れる形だが、足元の景気後退が鮮明となっているだけに、あすの9月日銀短観が注目されよう。日銀短観の前哨戦と目された、7-9月期の法人企業景気予測調査では、大企業全産業の景況判断指数が-10.2(前回は-15.2)と若干改善。とはいえ、3四半期連続のマイナス、2四半期連続の2桁マイナスと厳しい内容。調査時点が8月25日と、米リーマン・ブラザーズの経営破綻など9月の金融市場の混乱が反映されておらず、実質はさらにマイナスが拡大していたと推察される。前回の6月日銀短観では、大企業製造業DIが+5(前回比-6)と3四半期連続で悪化し、2003年9月(+1)以来の低水準を記録。今回の9月日銀短観では大企業製造業DIの市場予想は-2で、5年ぶりにマイナスに転じる公算。仮に市場予想を上回ったとしても、調査時期の関係から足元の米金融危機が織り込まれていない可能性があり、安易に評価することは難しそうだ。